「神の約束」 林良信 長老 --121号

本日を持って、創世記の講座を終了致しますが、大事な箇所を思い起こしまして、四十九章二十九~三十三節と五十章二~二十六節を皆さんと再度勉強したいと思います。イスラエル民族の父祖はアブラハム、イサク、ヤコブの世代迄はカナンの地、つまり、現在のイスラエルに住んでおりましたが、ヤコブの代に、飢饉に追われて、エジプトへ移住しました。上記の聖書の箇所は、エジブトの居留地で、ヤコブとヨセフが臨終の際に、家族に言い残した遺言です。今から約四千年前の出来事ですが、深い意味を持っております。



アブラハムは元来現在のトルコ領南部のハランに住んで居りました。神様の御示しで、ハランを立って、カナンの地へ移住しました。現代はビサを取得して、相手の国への移民ですが、当時の移住は命がけです。異国の地で、親戚友人が無く、完全な孤独で、法律の保護が全く無く、生命と財産が恒に危険に晒された状態です。当時、七十五歳のアブラハムと六十五歳の妻サラには子供が無くて、子供を生める可能性がゼロの状態でした。神様はアブラハムに子供と土地を与えることを重ねて約束しました。二十五年の歳月を経過して、アブラハムが百歳、サラが九十歳の時に、息子イサクが奇跡的に誕生しました。この間、アブラハム夫婦は何回か神の約束を疑い、神様を裏切りましたが、神様は約束を守り、約束を実現しました。イサクの誕生に依って、アブラハムは神への信仰を確立して、生涯動揺しませんでした。それ以降、息子のイサク、ヤコブ、ヨセフの代迄、この家族は厳しい環境の中で、生き延びて、且つ成長出来たのは、アブラハムの子孫が信仰を守り、神様が約束を信実に実行した成果です。
 

ヤコブの代に、一族がエジプトヘ移住して、そこでヤコブが終焉の日を迎える次第です。ヤコブは息子のヨセフにカナンの地に葬ることを厳命しました。現代は冷凍技術に依って、遺体が長持ち出来で、長距離輸送が可能ですが、当時は遺体をミイラ化するしか有りません。ヨセフは大変な代価を払って、ヤコブの念願を実現しました。数十年後、ヨセフは臨終の際に、同様な遺言を残しました。四百年後、イスラエル人が出エジプトの際に、ヨセフの遺骨を持ち出して、放浪の旅にヨセフの遺骨を持ち回って、四十年後にカナンの地に葬りました。ヤコブとヨセフはなぜカナンの地にこれほど固執したでしょうか。聖書は回答を書いて居りませんが、族長の物語全体を通読しますと、神の約束に対する強烈な確信によるものです。


エジブトは豊かな国です。カナンの地は貧乏で、降雨量が少なく、旱魃に悩まされ易い貧乏な土地ですが、カナンの地は神様が約束して下さった尊き約束の地であることをアブラハム一族は命を掛けて確信しました。この神の約束は後世のイスラエル民族に取って、正に祝福の土です。その後、イスラエル民族の国が亡び、第二次世界大戦でドイツに迫害されて、六百万人も殺されました。一九四八年国連の決議に依って、独立国家として建国されました。


二千五百年間も国を失ったわけです。この二千五百年間神様の約束がイスラエル民族を支えてきたのです。


神様はアブラハムに(一)土地を与えること、(二)子孫を与える約束をしました。神様は現代の私どもに何を約束したでしょうか?これは非常に大事な課題です。私どもがこの問題を真面目に考えることが出来ましたら、私どもの人生は明るくなります。

私個人の見解ですが、神様が我々に対する約束は:幸せに生きることと信じております。私どもは、自分の健康管理、金銭、時間、人間関係を堅実に管理することですが、もっと大事なことは神様を信ずることです。これによって、全ての人が幸せになれます。


(玉蘭荘二〇〇八年五月二日の礼拝にて)

評論: 0 | 引用: 0 | 閱讀: 2694