玉蘭莊紅白歌合戦/連碧玉 (邱明慧訳)-(126)

早くも年に一度の[玉蘭莊紅白歌合戦]が又やって来きました。一ヶ月程前から司会者に指名された邱明慧さんと私が共同で企画を始め、今井総幹事や美菁幹事とも綿密な打ち合わせをして、この特別行事に適切な責任者と出演者を探し求め、企劃を錬り上げました。この楽しい歌合戦を通して、晴れ晴れと丑年を見送り、希望に満ちた新しい寅年を皆様と共に迎えたいという強い思いで一杯でした。


  まず隊長には若々しい活力の有る二人を、ということで(玉蘭莊の会員人生は七十代が始まりで、六十代ではまだまだ子供なのです)、何事にも熱心で思い遣りのある胡瑠美さんと、何時も若々しく活溌な菊池友和さんをそれぞれ赤組と白組の隊長に選びました。次に優秀な出演者の選抜には、多くの会員の中からの推選と要請に応じて、十六名の候補者が選ばれました。最後に一番大事な審査員の招聘で、今までにも経験のある馬場十寸穗さん、陳旭星さん、梅村京子さん、彭靜枝さん四人に頼みました。


  二〇一〇年一月十八日、「玉蘭莊紅白歌合戦」は遂に開催の日を迎えました。まずは午後の開幕を前に、昼食の時間を利用し、去年大晦日に放送された日本の[NHK紅白歌合戦]のDVDを流し、会員さん達は、その歌声や踊りの熱狂的なシーンを観て、いやが上にも雰囲気が盛り上がってきました。さて愈々午後一時になり、司会者二人はそれぞれ赤白のマフラーを肩に纏い、二〇一〇年度の[玉蘭莊紅白歌合戦]の開催を改まって正式に宣告しました。


  毎年の慣わしに従い、先ずは司会者が採点方法や規則等を説明し、審査員を紹介しました。続いて、それぞれの隊長は自分の組の出演者を紹介し、司会者は審査員の権限、審査結果の尊重について特に強調して伝えました。


  白組のトップバッター、穏健で歌声に厚みの有る吳振輝さんの一曲「花冷え」でスタートを切り、熱烈な迫力の有る歌合戦が始まりました。赤組初の出演者は、歌が大好きな切り札歌手李燕美さんが早々と出場、歌は「安芸の宮島」。続く出演者達も一曲一曲どれもが見事な歌唱力です。赤白両組の応援団も、お互いに負けじと隊長さんを先頭に全力を挙げて、赤白の紙で作られた手作りの応援用具を上に下にと振りながら、楽器を高らかに鳴らし、応援歌を歌って大いにはしゃぎ合い、会場が活気に溢れました。(気迫は青少年に勝るとも劣らじ) 審査員はそれぞれの歌声だけではなく、応援隊の力も採点の対象となっているので、全てに目配せ気配せしながら聴き入り、会員達が注目する中で、まめまめしく採点に忙しんでいました。幸いにティータイムでほっと一息、ボランティアさんが香しいコーヒーとお菓子を運んで皆に配り、お陰で爺ちゃん、婆ちゃんの緊張した雰囲気も柔らぎました。


  暫くの休息時間には、司会者の指導の元で活溌な讃美操[主にありて喜び]と[神を慕いて]の曲に合わせた体操で身体をほぐしました。その時に合わせ、審査員の前半の審査結果が発表され、白組の得点は千八百十三点で、赤組の千七百六十七点を少しばかり上回り、応援隊は一段と声を高め、益々熱が入ってきました。後半では六曲が歌われ、最後の出演者は今年九十三才の林改荘姉で、彼女は軽快で活溌な[恋は天下のまわりもの]を歌って皆を魅了し、最後に赤組の謝典子さんが[支那の夜]を歌って、二〇一〇年度の歌合戦は円満に幕を閉じました。審査員の投票と採点も終えて、お爺ちゃんお婆ちゃん達も神聖な一票を投票してから、静かに結果の発表を待ちました。


  結果待ちのこの場を少々お借りして、歌合戦に終始お付き合い下さり、何かと御協力下さった皆様に心から感謝致します。玉蘭莊は喜びと楽しみで満ち溢れる、お年寄りの楽園で、熱烈な歌声の中にも、全能の神の御恵みと愛が兄弟、姉妹の上に注がれていた事に心から感謝し、会員、ボランティア、職員を問わず、皆一緒に[愛]を元に活動し、玉蘭莊がもっともっと[愛]に満ちた大家族になって行く事を切に願っております。


さて、ついに今年の「紅白歌合戦」も締めくくりの時を迎えました。最後に審査員が二〇一〇年度の得票と総得点を発表し、赤組が二千八百六十三点、白組は二千八百五十九点と、わずかの差で赤組が逆転勝利を収めました。 続いて今井総幹事が賞状と賞品を赤組に授与し、全員に参加賞が配られました。一同は歓呼と嘆息の声の中に立ち上がり、皆で「小さな世界」を合唱し、互いに新年の挨拶を交わしながら皆の健康を祝い、笑顔で歌合戦の幕を下ろしました。

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