三年を顧みて――凡てに感謝/蔡仁理-(134)
editer: 玉蘭莊 date: 2012-04-16 22:37
玉蘭荘理事長の重責を受け持たされてあっと言う間 に三年の月日が經ちました。お恥ずかしい事が書き出しに成りますが、三年前私が二十年の国外の長い旅から台北へ帰り戻った直後に、高俊明牧師夫人の電話一本で說得されて 「社団法人台北市松年福祉会」(玉蘭荘)理事長と言う厳しい肩書きの座に身を置くまで、事の重大さを知りませんでした。
もともと玉蘭荘とは三十年程前に至上の友鄭連德牧師が台北東門教会牧会の時始めた日本語での「聖書と祈りの会」が、堀田宣教師のご協力で発足した奉仕活動集会のグループ名稱と思っていました。其の間私は一度も「玉蘭荘」を訪ねる機会もなく、国外を行ったり来たりで皆目その発展の成り行きを知りませんでした。「玉蘭荘」と聞いたとき、私の第一印象は昔教会の国際会議で行った箱根の天城山荘や阿里山の旭日小莊等、レジャーに使う山麓の別荘を連想させる所だけでした。それが何と相手は「日本語による高齢者ディケアセンター」で、それも否応なしの仕事ですので、身の程知らずに承りました。
実は自分でもケアを頼みたいシルバー族の年齢に達したのですが、神様の恵みで今時まだ使って頂ける幸いと信じて、無謀と思いながら理事会に赴き、初めて「玉蘭荘」の組織・主旨・活動内容等を戴き、会員との出会いが始まりました。
初めての礼拝のお話で信義路三段四階の会場に入った時の印象は、五十數人の参加者がみんな揃って温かな穏やかな笑顔で優しく迎えてくれました。その雰囲気に包まれて本当に〝幸せ〟を直感し、心の中で、これはいけると感じさせられました。そして数人のボランティアの奥さん達がまめまめしく立ち働いて、この活動を支える為にスープ・果物の準備や場所の整理をしているのが、大変印象的でした。
三年を振り返って見ますと、自分がこの会から多くの事を学び、有益な体驗中学時代に習った日本語がまた大部甦って纏まったお話が出来るようになっ
をする機会が与えられた事に感謝しなければならないと思います。中学時代に習った日本語がまた大部甦って纏まったお話が出来るようになったり、少年時代唱えなかった日本語の歌や流行歌が上手に成ったり、友達が沢山出来、同じ時代の人と話が通ずる嬉しさも感じ、いい人生体験が出来ました。
この感謝は、勿論玉蘭荘の創立以来二十数年、ご関心やご指導、ご支援並びにご献金を賜った国内外の多くの皆様、日頃の活動を支えて下さるボランティアの皆様等々、ご支援戴いた凡ての方々に心より感謝致します。皆様のお蔭様で今日の実りある高齢者デイケアセンター(憩いの場)ができました。
ご存知の通り本荘の創立の趣旨は「キリストの博愛精神による、憩いと活動の場を提供し、高齢者が活動と奉仕を通じて、愛と喜びのうちに相互に労わり合い、最後まで社会の一員として尊厳のある、より充実した生活ができるようにサポートする。」です。そのために理事会は執行の総幹事(幹事を含む)と共に活動内容(プログラム)や計画また経費の捻出等にも力を注いでいます。
日常活動(月・金)には、懐かしい日本の歌、多方面の講演講座、語学、映画鑑賞、習字、外来語、カラオケ、手工芸等。また季節の行事や誕生会、交流会、ピクニック、音楽会、バザー等もあり、高齢者が有意義に楽しめ安心して憩える場として、皆の人気を集めています。
二〇一一年度報告からデータを一つだけ拾って、面白いことをお知らせします。
玉蘭荘日常活動の通所者人數:概ね六十五名位
昨年度活動回数:八十六回
一回の参加者人数:平均五〇・二名
つまり出席率:七十七%
通所者六十五名の平均年齢が八十一・二五歳と分かれば、この様に出席率の高いことがお分かり頂けると思います。因みに玉蘭荘の通所者の約七割は八十歳以上の方です。ですから本当に純高齢者の集いと言えましょう。勿論日本語の分かる年齢層は、台湾では段々と高齢化していく事はお分かりでしょう。
若しも貴方が毎週八十路を超えた私共のグループと顔合わせお交わりが出来たら、何と素晴らしい事ではないでしょうか。
殊に雨のひどい日、風の荒れる日、天候悪い時もめげず通所する高齢者の姿に頭が下がります。本当に感謝で心が一杯です。
昨年からの一年余りを顧みて、特に三、四の事項をお伝えしたいと思います。
一、三一一東日本大震災では本荘会員の協力にて新台幣四十万五千三百元(約百二十万円)の義援金を日本へ送りました。
二、台北新生扶輪社と姉妹関係の日本京都紫竹ロータリークラブより新しいヤマハピアノU3TBをご贈呈戴き(十二月九日午前贈呈式)、当日午後の慈善音楽会には長年来ご支援を賜っている矢野蓉子名譽教授及び阪本朋子教授が大阪からご来訪されご出演下さり、感謝でした。
三、玉蘭荘創立以來二十年以上に亘って、ボランティアリーダーとして全身全霊でご奉仕下さった馬場十寸穗さん(理事、顧問、運営委員等歴任)がこの四月二日に日本へご帰国されます。本当に名残り惜しいことです。玉蘭荘への数々のご奉仕、ご苦労様でした。厚く御礼申し上げます。ご健勝を祈りまたの御来台を心よりお待ち致しましょう。
四、惜しむらくは、本莊の開設から礎を築かれるために、多くの貢献をなされた名誉理事長許石枝長老が、二〇一一年二月二十三日に天に召されました。氏の功蹟と我が莊に対する愛は心に銘じて忘れられません。
因みに私共「玉蘭荘」は台湾で唯一の日本語での高齡者のデイケアの使命を与えられています。これは残された歴史的任務とも言えましょう。皆様のご支援とお祈りを心より望み、改めて次の三年を邁進致したいと願っております。
聖書(新共同訳)
フィリピの信徒への手紙 四章八節~九節
終わりに、兄弟たち、すべて真実なこと、すべて気高いこと、すべて正しいこと、すべて清いこと、すべて愛すべきこと、すべて名誉なことを、また、徳や称賛に値することがあれば、それを心に留めなさい。
わたしから学んだこと、受けたこと、わたしについて聞いたこと、見たことを実行しなさい。そうすれば、平和の神はあなたがたと共におられます。
(理事長、牧師)