玉蘭荘創立二十五周年感謝礼拝に際しましてのごあいさつ/理事長 蔡仁理-(144)

本日は、玉蘭荘の創立二十五周年という大変おめでたい日を迎え、感謝礼拝を行うことができますこと、神様のお導きに深く感謝いたします。時の経つのは本当に早いもので、玉蘭荘も創立より二十五年、四半世紀が過ぎました。

 私たちがこの秋という季節にお祝いを致します事は、大変意義深いことです。と申しますのは、秋は読書の秋、芸術の秋などと申しますように、静かに物事を考えるのに一番適した季節であり、また一年の中で成熟、収穫を象徴し、神様に感謝を捧げる季節でもあるからです。ですから秋には各地でお祭りを行って、神様から賜った恩恵に感謝を捧げるのです。

 秋のこのよき日に、私たちは感謝礼拝を執り行い、またこれを機会に玉蘭荘の創立当時を振り返ってみたいと存じます。今から二十五年前、台北東門長老教会はすでに、玉蘭荘の母体とも言える「聖書と祈りの会」という日本語による活動を主催しておりました。折しも台湾では長きにわたった戒厳令が解除されたばかり、この時勢にいちはやく日本語の活動を始めた東門長老教会の先見の明には、ただただ感謝するばかりです。後に、さながら助産婦役とでも申しましょうか、日本より堀田久子宣教師がお見えになり、一九八九年の玉蘭荘の誕生に立ち会い、お育て下さいました。私たちは堀田先生のこの大きなご功績に心より感謝致しております。

 玉蘭荘は一九八九年の創立以来、多くの方々の熱心なご協力のもとその運営を継続し、この信義路に会所を構えるまでに至っております。これはひとえに皆様の情熱と、神様のご加護によってなされたもので、その背後には多くの感動と、語りつくせないほどの物語があるのです。本日お越しの皆様も、そうした感動を感じていらっしゃることかと思います。

 今この場では、歴代の理事長および理監事や総幹事、ボランティアさんなど、この二十五年間玉蘭荘の為に力を尽くして下さった方々のお名前を一人ずつご紹介することはできませんが、これらの方々のご協力、ご支持に対し、神様の大きなお恵みと祝福がもたらされます様に願っております。

 日本語による活動に参加するシルバー会員は、少しずつ入れ替わりながらも累計で何百名かを数えるほどになっており、現在毎週月曜日と金曜日の活動日には四十名もの仲間が台北の各地から集まっております。その平均年齢は八十歳を超えており、玉蘭荘での活動を通して信仰に目覚め、中には洗礼を受けた方もあります。人生の晩年に、温かな、喜びも悲しみも皆で分かち合える、このような素晴らしい場所を、神様がお与えくださったのです。

 私たちは、台湾の支援者のみならず、日本交流協会台北事務所、台湾日本人会、台北市日本工商会をはじめとする、台湾における日本の各団体からの絶え間ないご支援、また、日本、台湾各地にてボランティアで玉蘭荘をお支え下さっている皆様にも、心より感謝申し上げます。

 さて、秋は実りと収穫の季節、そして冬への備えの季節でもあります。玉蘭荘は二十五年の時を経て、高齢者のデイケア施設としてベテランの域に入っております。重要なのは、私達は日本、中国、台湾の三つが一つに融合した特殊な文化と三つの言語で交流を持っている、という点です。私たち台湾と日本の間には特別な歴史背景とそれに基づく感情が根づいており、両者間の交流が続けられることは歴史的にも大きな使命であるといえます。これから私たちがどの位力を尽くせるかは分かりませんが、玉蘭荘の運営が続けられることで、その交流の力が大きくなり、やがて新しい世代に受け継がれて行くことでしょう。そのためにも私たちは引き続き計画を立て、新しい時代の指導者を迎え、多方面からのご指導を仰ぎ、新しい人材育成にも力を注いで参らねばなりません。

 私たちはこれから迎える新しい時代に沿って、あるべき姿、進むべき方向を調整してゆく一方で、玉蘭荘創立当初からの最も重要な宗旨を忘れてはなりません。クリスチャンの博愛精神、ボランティア精神をもって、デイケアセンターの活動を通じて高齢者の心身のケアを行い、そして社会に対する異文化理解を促進してゆくことが、私たちの大きな使命のひとつであるといえます。

 新たな時代を迎えるにあたり、私たちは意義のある活動を続けつつも日々改善を重ね、またこの二十五年間皆で培って参りました経験を活かし、より多くの方にこの活動に参加していただけるよう、努力を重ねて参る所存でございます。支援者の皆様方におかれましても、今後ともより一層のご支持、ご協力を賜りたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ところで私事になりますが、すでにシルバー族の一員である私が、日本語が喋れることもあり、神様のお導きによって二〇〇九年より玉蘭荘の理事長という大役を仰せつかって参りましたが、度重なる国外での宣教に加え、最近は体調も思わしくなく、なかなか玉蘭荘へ足を運ぶことができず、大変申し訳なく思っております。私は間もなくこの役目を終えますが、今後更にふさわしい方が新たな理事長として、玉蘭荘をまた盛り立ててくださいますことを願っております。

 最後に、玉蘭荘が台湾各地の教会のご支援を賜り、これからも発展の一途をたどってゆくことができますよう、そして本日この場にお越しの皆様方の健康とご多幸を、心からお祈り申し上げます。

(二〇一四年九月二十二日感謝礼拝にて)

(重金優子訳)
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