奇しきみ恵み/幹事 高佩玲-149

一生のうちに体験する事は、それが楽しいことであっても、成功したことであっても、あるいは失敗したことであっても、すべてが神様のお授けくださったものであると思います。

 玉蘭荘で幹事の職について七か月がたちました。七か月前までの私は、狭い範囲の中でゆったりとした生活を送っていました。私の家は山の近くの外雙溪という場所にあり、空気も景色もよく、静かな所ですので、授業のない日は外出する気にならず、家で押し花や読書、音楽、散歩、水泳などをして、まるでリタイアした人のようにのんびりと過ごしていました。私自身もそんな生活に満足していましたし、今後もこうして過ごしてゆくものだと思っていました。でも人生というのは、いつ何が起こるかわかりませんね。

 おととしの十二月、日本語教室の食事会に参加した時、内片常務理事が玉蘭荘の職員を募集しているとおっしゃいました。私は人と接することが好きですし、日本語の勉強にもなって、その上ちょっと収入もあって習い事の月謝の足しになるならいいお話だなと思いました。今思えばとても簡単に考えていました。それから昨年の五月に正式に幹事に就任して、実際は全く簡単ではないことに気づいたのです。私は以前幼児教育に携わっていた時期があり、教育と教材の出版の仕事をしていました。玉蘭荘の幹事の仕事は、会計、出納、総務、行政文書の作成、必需品の購入など多岐にわたり、その細かさは私の想像をはるかに超えるほどのものでした。

 学生にでもなったつもりで一から仕事を覚えようと努力し、夢中で仕事をしているうちに、気が付けば七か月が過ぎていました。これまで一つ一つの仕事を完成してこられたのは、たくさんの人のおかげだと感謝しています。特に前幹事の陳美菁さんは、退任前に仕事に関する全ての資料を整理しておいてくださり、時間を割いて熱心に引き継ぎをしてくださいました。おかげで多くの作業がスムーズにできるようになりました。そして現総幹事の渡部洋子さんは、やや完璧主義な私が穏やかな気持ちで仕事ができるよう、その知恵と広い心でいつも私を見守って下さいます。もちろん玉蘭荘の会員やボランティアの皆さんも、いつも私に讃美と励ましの言葉をかけてくださり、楽しく仕事をさせてくださって、本当に感謝しています。

 そして最も感謝しているのは、もちろん神様です。私の苦手なパソコンや電気機器の操作から、総務、買い出しまで、様々な場面で天使のような方を使わして私を助け、導いてくださっています。そして仕事で疲れたり落ち込んだりしている時には、教室から聞こえる牧師先生のお話によって私の心を癒し、勇気と力を与えてくださいます。

 ところで最近昔の手紙を整理していたところ、二十年前日本に住んでいた時、堀田久子先生が下さったはがきを見つけました。はがきには天母日語教会と玉蘭荘の名前が記されており、台湾に戻ったらこれらの場所を訪ねてみてくださいとありました。しかし台湾に戻った後の私は家庭の事情でキリスト教からも日本語からも遠ざかった生活が続き、せっかく学んだ日本語も忘れかけていました。数年前友人の紹介で玉蘭荘で行われている日本語教室に通うようになり、天母日語教会で毎週火曜日の朝に行われる聖書の読書会にも参加するようになりました。縁というのは本当に不思議なもので、こうして二十数年の遠回りをしながらも、私はとうとう玉蘭荘にたどり着いたのです。このように、目には見えないけれども、確かに一本の線がしっかりと命を導いている、これこそが天の奇しきみ恵みなのだと、実感しています。
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