玉蘭荘のバザー  張明徳 --115号

十一月二十四日、例年の様にバザーは十一時から始まった。活動教室は早変わりしてマーケットになった。長年の経験が生かされ、リーダーの馬場さんと熱心なボランティアの団結、協力の下に準備が着々と進められて来た。会員の寄付、ボランティアの作品に加えて玉蘭荘を支える個人や団体からの日用品、食品類、衣服類、飾り物、手芸品などが所狭しとばかりに陳列されていた。キッチン前のコーナーは美味しい食べ物を並べて「さあ!いらっしゃい!美味しい牡蠣ソーメン、四神スープ、黒米おこわ、おでんにおしるこを昼食に召し上がれ!」


日頃はおしゃべり会、手芸、会議、客間にも使われている部屋は、レストランとなって、お客さん達は座ったり、立ち喰いしたり、雑談しながら賑わっていた。


 隣のコーナーは草餅、ケーキ、寿司、握り飯、ウナ丼、蜜柑、持ち帰れば家族に喜ばれる食べ物ばかり...。向かいはコーヒー・ショップで飲み物やケーキを売っていた。玉蘭荘のバザーは正に社会の縮図である。


日頃は受付になっているデスクには、多種多様のプレゼント、カードを並べてクリスマスの雰囲気が漂っていた。大教室に入ればデパートと見まごうばかりに、多くの商品が年の暮れの競り売り市場のように、ボランティア達がエプロン姿で甲斐甲斐しく立ちまわっていた。


「さあいらっしゃい!お買い得な品物が沢山あります。玉蘭荘一年一度のバザーを支援して下さい!」とあちら、こちらから客引きの声が上がる。


各コーナーにはメガネ、衣類、日用品、ボランテイア達が精魂をこめ、時間をかけて一針一針と縫い上げた、鼠公、猫チャン、アヒル等を並べて、玉蘭荘伝統の手芸作品を売っていた。毎年玉蘭荘のバザーにウナギの蒲焼を寄付してくださり好評を博している東海ロータリーの郭さんは、今年も沢山寄付して下さった。馬場さんは,マイクを片手にして日本語広告、今日の来客には日僑工商会や日本交流協会から多くの支援者が来られるので、日本語の宣伝が必要である。


「さあ!さあ!品質はSOGOに劣らない一流品、価額は他所では買えない大安売り!さあ!絶好のチャンスですよ!玉蘭荘を支援しておくれやす!」


と臨時の広告係りには見えない頼もしい活躍ぶり。王総幹事は北京語に通訳して日本語を知らない若い世代のお客さんに声をかける。今日のバザーの品は寄付いただいたものだから資本要らず、買う方も玉蘭荘支援が目的なので値切る者は至って少ない。一番先に売り切れたのは昼食コーナー、腹ごしらえの後、人の群れは玉蘭荘デパートに押し寄せた。


玄関口は毎年のように本売り場。玉蘭荘書店の見出しを掲げて広告ビラを配る。オーナーは相変わらずいつものオヤジ、もう八十路をオーバーしたのに意気尚軒昂、最近台中市の文学賞に入選した【私の第二故郷-南台中】を加えて九冊の自書を棚に並べて客を呼ぶ。玄関口を選んだのは買い物客のふところがしぼんでしまう前に...が狙い所だったが、花よりもダンゴの世の中、素通りの客が多く、外のコーナーに比べると商売が弾まない。太公望の魚つりのように根気よく待って、午後になってから徐々に売れ出した。どうせ自著であり、自分で売り、すべてを玉蘭荘の経費に当てるので収入の多寡は問題ではない。それよりも人々がこれらの本から玉蘭荘を認識し、老人は孤独であってはならない、玉蘭荘に来れば多くの友人と交わり、楽しい晩年を過ごすことが出来るのを知って貰えば玉蘭荘書店を開いた目的が達せられる。


人手が足りず陳幹事は妹さんに頼んで会計、出納を手伝ってもらった。銀行から細かいお金を替えてきて各コーナーの必要に応じて配ったり、午後になって売り上げを集め、数えて記帳したり、一元でもミスするなかれと姉妹は張り切った。時間は刻一刻と過ぎて行き、閉店の三時半になった。一足遅れて来たお客さんには済まないが、閉店しましたよ、今後又よろしくと挨拶して、玉蘭荘のバザーは時間を厳守することを知らせる。


最後に売れ残りの商品を整理し、机、椅子を元に戻してバザーの検討会を開いた。準備から手芸品の作成、会場のデザイン、バザーの指揮に熱心に関わって来た馬場さんと総幹事の王雪蘭さんの検討に続いて各コーナのボランテイアの感想が次々と発表された。皆等しく、玉蘭荘のバザーによき経験を得たと喜んでいた。その中には初心者もいれば老練者もいる。皆が異口同音に言う、玉蘭荘の発展は皆の団結と合作によると。最後に今日の収入は去年を突破したとの快報が報告された。

                     (常務理事)

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