デッサンクラス/デッサン講師 張惠愛

会員さんたちは、私の顔を見るといつもわくわくした表情で「今日はデッサンのクラスあるの?」と聞いてきます。皆さんの表情は若々しく、生き生きとしています。

今までデッサンクラスに参加された会員さんの中で、印象深い方々を紹介します。一番素晴らしいと思ったのは、橋本喜美代さんです。彼女は去年の敬老の日に、日本の内閣総理大臣から百歳の表彰とお祝いを受けられました。橋本さんの背筋はまっすぐに伸びていて、いつもきれいにお化粧を施したお顔には笑みを浮かべています。玉蘭荘の活動には毎回娘の静枝さんと一緒にMRTに乗ってやって来ますが、デッサンクラスでの精神の集中ぶりや、作品の色使い、形の認識力、そして二時間ほとんど休むことなく描き続けるその姿は、とても百歳を迎えるようには見えませんでした。残念ながら橋本さん母娘は、昨年から新北市八里の老人ホームに住むことになり、遠すぎるので玉蘭荘へは来られなくなってしまいました。

李艶姫さんは太陽のように明るい方で、彼女がいるだけでその場が陽だまりのように明るく楽しい雰囲気になります。デッサンをしながらも、常に彼女の笑い声や歌声が響いています。鮮やかな色合いが好きな艶姫さんは、一度色鉛筆を握ると満足のいくまで描き続ける気力の持ち主でもあります。

ボランティア仲間・羅芳玲さんのお母さんは、二〇一四年に一度参加されただけでしたが、自分の目でしっかりと対象物を見つめて写生をされる姿がとても印象的でした。二時間という短い間で対象物の美しさ、色、輪郭など、想像力をうんと働かせて画用紙に描いておられました。

デッサンクラスに参加される会員さんたちは、皆さんとても優秀です。一度いつものテーブルを使用することができず、お喋り会とデッサンを同じ大教室の前と後ろとで行ったことがありました。教室の後方でデッサンをする十名ほどの会員さんたちは、前方でお喋りを楽しむ方々の笑い声に気を取られることなく、黙々とデッサンに集中していました。彼女たちの集中力には尊敬の念を感じました。

参加される会員さんたちも、時と共に年を重ねてこられます。皆さんの姿勢からは、その過ごされてきた年月の間、順調な時も、逆境にあっても、常に今と同じように真剣に向き合い、若い心を持って、神様のお与えになった時間を楽しく過ごされてきたことがわかります。玉蘭荘で会う皆さんそれぞれに背負われてきた人生があり、そんな皆さんが心の充実を求めて集い、活動を楽しむことで、玉蘭荘の温かい雰囲気が作り出されているのではないかと思います。皆が力を合わせることによって、このぬくもりが私達だけにとどまらず、周りの人たちにももたらされることを願っています。
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