台湾、玉蘭荘とのご縁/ボランティア 西千夏

二〇二〇年四月中旬、新型コロナ拡大による初めての緊急事態宣言が出されて間もない東京を飛び立ち、雨の台北に到着しました。二週間の厳しい隔離生活を終え、ようやく念願の台湾での生活が始まりました。当時は、まさかその後二年余りも日本に帰れないとは夢にも思っていませんでした。

一九九九年の結婚を機に、それまで勤めていた東京の大学職員の仕事を辞め、中国・広州で新婚生活を過ごすこととなり、その後の移動の多い生活の幕開けとなりました。広州は二年弱で離れ東京に戻り、その後は北京、香港、また東京と、三、四年ごとのペースで新しい土地に移っています。どの場所でも過ごせる時間に限りがあるため、どのように過ごそうか最初に想像してみるのですが、実際は思うようにはなりません。そこで私は、自分で切り開く覚悟は持ちつつも、「袖振り合うも多生(他生)の縁」ということわざもありますように、普通に生活をしている中で、その時に出会えた・知り合えた、人々や出来事を大切にし、その流れに従ってみるようにしました。幸いなことに、広州では長く付き合える友人、北京では常に穏やかな中国語の老師、香港では裏千家茶道の仲間、東京では近所の卓球サークル、そして台湾では玉蘭荘の皆さんと出会い、ご縁を結ぶことが出来ました。

玉蘭荘は設立されて三十年以上もの長い年月が過ぎ、今なお玉蘭荘に関わる全ての方々により支えられ、継続することの強さを感じます。その玉蘭荘に伺う機会を得て、私にとって台湾での貴重な経験となっています。利用者の皆さんの活動に活き活きと参加されている様子や、スマートフォンなど新しい道具も難なく使いこなし交流される姿は、今後の人生で目標とするお手本でもあります。二年以上会えなかった父も利用者の皆さんと同世代のため、父にも皆さんの様に、はつらつと過ごしていて欲しいと願っていました。

日々の至る所、ふとした場面でも人情味あふれる台湾に居られる間、少しでも多く玉蘭荘の方々と交流し、色々と教えて頂ければと思っています。

今後ともどうぞよろしくお願い致します。
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