ボランティアさんのリレーコラム—親孝行/天野千加子
editer: 玉蘭莊 date: 2024-01-25 22:07
東京で生まれ育った私ですが、1984年の結婚を機に東京を離れました。主人は転勤が多い仕事だったので、家族全員での引っ越しは16回。1男3女の4人の子供達は 2・3年ごとのペースで転校。振り返ってみると、かわいそうだったな・・・と思います。
結婚から12年間は地方勤務だったので、両親と会う機会は少なく、時々電話で話をするくらいでした。今のようにビデオ通話で話ができる時代ではなかったので、声を聞いて両親が元気に暮らしていることを確認していました。
母は70代から足が悪く車イスを使う生活をしていましたが、80代になると更に心臓も悪くなってしまいました。母の介護をしていた父も、80代半ばで心臓の大手術。私は両親が入院する度に、極力お見舞いに行きました。
2014年、私にとって初孫、私の両親にとっての初ひ孫が生まれました。両親はひ孫の顔を見ることができて、とても喜んでくれました。その喜びから7ヶ月後、心臓手術後容態が急変し、私は看取ることもできず、母は天国へと旅立ちました。亡くなる数日前病院のベッドでひ孫を抱かせてあげることができたので、少しだけ親孝行ができたでしょうか?
2017年、2人目の孫が生まれ、父は2人目のひ孫の顔を見ることができました。2020年4月、父と同居する義姉から「父はだいぶ弱っているので、夏は越せないかもしれない」と言われましたが、新型コロナ拡大による緊急事態宣言が出されていたため、なかなか会いに行くことができませんでした。
5月中旬、父は同居している兄一家も気付かない時間帯に天国へと旅立ちました。私は父も母も看取ることができず、「生んでくれてありがとう」と言うこともできずにお別れしてしまいました。
私は2022年4月から玉蘭荘のボランティアとしてお手伝いさせていただいています。会員さんの中には、私の亡き両親と同じ年齢の方が多くいらっしゃいます。
「親孝行したい時に親はなし」ということわざがあります。今私は実の親には親孝行をすることができませんが、月に数回ですが玉蘭荘でお手伝いさせていただくことで、天国の両親も喜んでくれていると思います。
主人の台湾での勤務が残りどれくらいか分かりませんが、台湾に居られる間は会員さんと楽しく過ごしていきたいと思います。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。